最高裁判所第二小法廷 平成10年(行ツ)47号 判決 1998年8月31日
上告人
検事総長(X)
被上告人
山中狂児(Y)
右訴訟代理人弁護士
髙野隆
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告人の上告理由について
本件は、検察官が、公職選挙法(以下「法」という。)二二一条三項三号所定の出納責任者に該当し同条一項一号の罪を犯して同条三項により禁錮以上の刑に処せられた山中一彦について、同人が法二五一条の二第一項四号に掲げる連座対象者である公職の候補者等の子にも該当するので、同項により候補者であった被上告人の当選が無効であり立候補が禁止されるべきであるとして、法二一一条一項に基づき、被上告人を被告として提起した訴訟である。そこで、職権をもって本件訴訟における訴えの利益の消長について判断するに、被上告人は、法二五一条の二第一項二号に掲げる連座対象者である出納責任者に該当する山中一彦が法二二一条三項により刑に処せられた旨の法二五四条の二第一項に基づく通知を受けたため、当選が無効とならないこと及び立候補が禁止されないことの確認を求めて法二一〇条一項に基づく訴訟を提起したところ、右訴訟において被上告人敗訴の判決が確定した(最高裁平成一〇年(行ツ)第四六号同年七月三日第二小法廷裁判参照)ことにより、既に、法二五一条の五に基づき法二五一条の二第一項による被上告人の当選無効及び立候補の禁止の効果が発生しているので、本件訴訟における訴えの利益が消滅していることは明らかである。したがって、本件訴えを不適法とした原審の判断は、結論において正当として是認することができる。論旨は、原判決の結論に影響を及ぼさない部分についてその違法をいうに帰し、採用することができない。
よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 根岸重治 裁判官 大西勝也 河合伸一 福田博)
【上告理由】 〔略〕